プライベート・クレジット入門
プライベート・クレジットとは?
需要の拡大
成長と変革を重視する非上場企業は、資金調達の際にプライベート・クレジットという選択肢を活用することが増えています。非銀行主体が行う直接融資を通じて、自社の資本ニーズをより機動的に満たすことを目指しています。
ディフェンシブなインカム
プライベート・ローンは一般的に、劣後債券や株式よりも弁済順位が高く、優先的に弁済を受けられる優先担保付債務となっています。また、通常は変動金利の融資となります。こうした特徴により、投資家は元本の保全と高いインカムを期待できます1。
コア・アロケーション
伝統的な株式および債券でのポートフォリオにプライベート・クレジットを組み込むことで、ポートフォリオを分散し、リスク・リターンの向上が期待できます2。
プライベート・クレジットの基本情報
公開市場におけるシンジケート・ローン
あらゆる企業は、事業拡大や運転資金の確保、競合他社の買収、新たな市場機会の追求等のために資金を必要とします。従来、企業は商業銀行から資金を借入れ、銀行は通常これらのローンや融資債権を、それらを保有または市場で取引する様々な貸し手らに売却(「シンジケート」)してきました。
プライベート・クレジット
プライベート・クレジットを利用することで、企業はより直接的かつ効率的に資金調達することができます。プライベート・クレジット運用者は投資家から直接資金を調達し、往々にしてプライベート・エクイティ投資会社の関与のもと借り手企業に融資します。このような直接的な融資は、銀行を中間に介在させないことで、借り手にとっては、より高い機動性、機密性、融資実行に至るまでの確実性および構造的な柔軟性を追求することができます。また投資家にとっては、融資条件における優位性、元本保全および最終的には魅力的なリターンに繋がります。
プライベート・クレジットをポートフォリオの中核に据える
プライベート・クレジットはこれまで、伝統的な投資ポートフォリオのリターンを高め、ボラティリティを低減し、インカム収入の向上に貢献してきました。金利変動やインフレ、公開市場の不確実性が続く環境において、ディフェンシブな投資態度でのリターンを期待する投資家にとって、こうした特徴は魅力的となりえます。
株式60%/債券40%ポートフォリオ
年率換算リターン | 7.2% |
年率換算ボラティリティ | 11.8% |
直接利回り | 2.8% |
プライベート・クレジットを20%組み入れた場合
年率換算リターン | 8.6% |
年率換算ボラティリティ | 10.7% |
直接利回り | 4.5% |
今日のプライベート・クレジットを取り巻く環境
プライベート・クレジットは、世界金融危機後の銀行統廃合や規制強化を背景に、ここ数年で急速に拡大しています。米国の投資適格未満のクレジット市場においてプライベート・クレジットが占める割合は、2000年代半ばの5%から現在25%を超える規模に伸びており、大規模案件の資金調達において重要な役割を果たしています3。
このプライベート・クレジットの拡大は、プライベート・エクイティの投資活動や、より柔軟な資金調達ソリューションを求める企業によって牽引されています。
長期に亘り優れた実績を有するプライベート・クレジット
プライベート・クレジットは、ハイ・イールド債やバンクローンなどの伝統的なクレジット商品のパフォーマンスを長期に亘りアウトパフォームしており、その一因として、資金調達の機動性や機密性、柔軟性の対価として、借り手が支払うプレミアムがあります。
主な債券指数の年間リターン・ランキング(2017年~2023年におけるパフォーマンス順)
- プライベート・クレジット
- グローバル投資適格債
- 米国投資適格債
- 米国バンクローン
- グローバル・ハイイールド債
- 米国ハイイールド債
借り手がプライベート・クレジットを選択する主な理由4
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融資実行に至るまでの効率性
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構造的な柔軟性
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機密保持
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より確実な融資条件
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開示における要項の少なさ
ケース・スタディ
プライベート市場からの資金調達の需要拡大の理由
迅速性、簡潔性、柔軟性:プライベート・クレジットの貸し手が迅速かつ大規模に資本を提供できる能力は、借り手にとって魅力です。例えば、データセンター内ハードウェアの第三者保守サービスを提供する大手企業である「パークプレイステクノロジーズ」の場合、ブラックストーン・クレジット&インシュランスは、当分野の専門知識とスポンサーであるプライベート・エクイティ投資会社との強力な関係を活かし、2024年3月に20億ドルの融資を主導しました。パークプレイスは、ブラックストーンの企業価値向上支援プログラム(バリュークリエーション・プログラム)に参加しており、同社は数多くの紹介を通じて相乗効果を生み出す恩恵を受けています。
- 元本割れのリスクがあり、投資家は当初の投資額を取り戻せない可能性があります。
- 分散化は利益獲得、または損失回避を保証するものではありません。
- 出所:2024年3月時点のブルームバーグ(ハイ・イールド債)およびピッチブックLCD(バンクローン)。プレキン(プライベート・クレジット)は2023年9月時点で入手可能な直近のデータ。プライベート・クレジット市場規模は運用資産残高に基づく。米国投資適格未満のクレジット市場全体とは、米国ハイ・イールド債、米国バンクローン、北米プライベート・クレジット市場の合計として定義しています。バンクローンは、広くシンジケート・ローンを指します。プライベート・クレジット市場には事業開発会社(BDC)を含みます。
- いかなる投資にも大きなリスクが伴うため、投資家は全投資額の損失を許容できる場合にのみ投資を行うべきです。投資目的の達成やパフォーマンスについて保証や確約はなく、投資額の一部または全部を失う可能性があります。